子どもの失敗は、「ごめんなさい」より「◯◯」と言わせたい

生徒指導

無理やり「ごめんなさい」と言わせても意味はない

学校生活の中で、子どもたちが失敗してしまうことは山ほどあります。

 

たとえば、忘れ物。

たとえば、備品を壊してしまう。

たとえば、だれかに怪我をさせてしまう。

 

そんなとき、なぜか「ごめんなさい」を言わせる指導をしています。

 

もちろん、怪我をさせたら、怪我をした子に謝るのは当然です。

ですが、なぜか先生にも謝ります。

 

「ほら、まずごめんなさいでしょ!」

 

う〜ん、それってちょっと違うよなって思うのです。

 

先生にも迷惑をかけたのだから、謝るのが当然!

と言うのだけれど、僕は正直違和感を感じます。

だって、子どもは失敗するものだし、その失敗をなんとかするのが仕事だし。

 

被害者に謝るのはわかるけれど、なんで先生にまで謝るのかな。

僕は、そんなの必要ないと思うのです。

 

「ごめんなさい」なんて言葉は、心から悔いたときに自然に出てくる言葉だから、無理やり言わせても意味ないよねって思うのです。

 

「ありがとう」って言わせる指導

子どもが失敗したらね、「ごめんなさい」なんて言わせないの。

そこで、こっちの大きな器を見せつけるんですね。

 

それが、子どもに愛される「ハッピーな先生」の指導法です。

 

たとえば、教科書を忘れた子がいたら、ポンと教科書を渡してやる。

「これ、使いな!」って。

ここはカッコよくキメたい♪

 

今日は忘れそうだなってときは、あらかじめコピーを用意しておく。

「先生、忘れました」

って言ってきたら、

「だと思って用意しといたよ」

と言って手渡す。

ここもカッコよくキメたい♪

 

子どもは「ありがとうございます」と言うしかないんですね。

感謝するしかなくなるんです。

これが大事!

 

「ごめんなさい」じゃなくて「ありがとう」なんです。

 

結局、愛情をかけるってことなんです

で、こういうことを言うと、決まってこんな反論が来ます。

 

「そんな風に甘やかしたらこれからもずっと忘れてきますよ!」って。

そういうこと言う人って、そもそも甘やかしたことないでしょ?

 

僕はずっとこんな対応ですが、それで「じゃあ忘れてこよう!」なんて子に出会ったことはありません。

「ありがとう」って心から感謝させたら、次からは忘れないでおこうって思ってくれるんだと思います。

 

だって、本当にそうなんだもん。

 

たとえば、子どもが物を壊しちゃったとします。

この前、教室の鉛筆削りを壊しちゃった子がいたんです。

 

僕は教頭先生にも業務士さんにも謝って、直してもらいました。

そんな姿を見て、壊した子が言うんです。

「先生、ありがとうございました」って。

 

「いや、いいからいいから」って言って、ニッコリ笑う。

彼は、安心した表情を見せます。

で、それ以後、彼が物を壊したことはないわけです。

 

ときおり、加害生徒の保護者と被害生徒の保護者に来校していただいて、謝罪の会を開くことがあります。

 

お父さんお母さんが頭を下げる。

あれって、子どもにはすごいインパクトなんです。

自分のために謝ってくれている。

その姿見たらね、もうこんなことやっちゃダメだなって思ってくれる。

 

子どもの成長に失敗はつきものだから。

そんな失敗に、無理やり「ごめんさない」って言わせてもダメだと思う。

そんなときは、失敗を補ってくれる周囲の人への感謝につなげるんです。

 

その方が、子どもの心にス〜っと落ちていくんです。

これ、ホントです。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 「ごめんさい」ではなく「ありがとう」と言わせてみる。

 

 

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。