「こんなことでクレーム⁉︎」と思ったときのステップ

保護者対応

なぜ苦情が来るのだろう

ときおり、保護者からの電話に戦々恐々とされている方がいらっしゃいます。

「◯◯先生、△△さんのお母さんからお電話です」

なんて言われて、ため息をついている人はいませんか。

 

あぁ、またか。

苦情の電話。

要求の電話。

 

なんで、こんなことぐらいで電話してくるのだろう。

そう感じたことはありませんか。

 

僕にもそんなことがありました。

 

水は100℃にならないと沸騰しない

ひすいこたろうさんの著書『あなたの人生がつまらないと思うんなら、それはあなた自身がつまらなくしてるんだぜ。」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中にこんな言葉がありました。

 

「水は100℃にならないと沸騰しない」

人間の怒りは水と同じです。

 

100℃になるまで沸騰しません。

99℃までは、見た目には水と同じなんです。

 

そんなことぐらいで電話をしてくるなよ!と思う前に、ご自身の言葉や振る舞いを振り返ってみてください。

 

少しずつ少しずつ、温度を高めてきたのかもしれません。

それから、もしかしたら以前の担任、以前のクラス、以前の学校が高めてきたのかもしれません。

学校不信ってのはもう、合わせ技一本!みたいな感じで温度を高めているようなものです。

 

 

いきなり沸騰しているわけではないんですね。

いきなり電話をかけているわけではないんですね。

ここが大事なポイント。

積み重なっているのです。

 

人間の心ほど冷めにくいお湯はない

そして、忘れてはいけないことがあります。

本物のお湯と違い、人間の心のお湯はなかなか冷めてくれません。

もう、何十年も温かいままの人もいます。

熱いままの人もいます。

 

人はそれを「恨み」と呼びます…。

 

ですから、沸騰したお湯を冷ます方法は、謝罪以外にありません。

 

こんなとき、一生懸命「言い訳」をする人がいます。

人はそれを、「火に油を注ぐ」と呼びます…。

 

ある年の懇談会のときの話です。

真冬の候、ストーブがついているとはいえ、教室は底冷えします。

ですが、僕は背中にじんわりとした嫌な汗をかいていました。

 

そのお母さんは終始不機嫌なのです。

そこでお聞きしました。

 

「お母さん、とても怒っている感じがするのですが、なにかありましたでしょうか」

と丁寧に尋ねました。

 

すると、そのお母さんは一気にまくし立てました。

それは4月にさかのぼります。

定例の家庭訪問の際、学年の最初に行う実力テストの結果をお持ちしました。

 

普段は全然点数も取れないし提出物も出さない子でした。

ですが、業者のテストはクラスで一番でした。

 

「本来、このぐらいの力があるのかもしれませんが、学校ではその力が発揮できていません。正直に言えば、どちらが本当の力なのか測りかねています」

そんなことをお話しました。

そのことが、お母さんの中でずっと引っかかっていたようなのです。

 

「あのとき先生は、こうおっしゃいましたよね?どちらが本当の力か、わからないと」

「はい、申し上げました」

 

「どちらもウチの子の力です!」

 

お母さんは半年以上もの間、このことに怒りを抱えていたのです。

僕は深々と頭を下げ、謝罪しました。

お母さんを不愉快な気持ちにさせてしまったことを心から詫びました。

 

すると、どうでしょう。

お母さんは晴れやかな表情になり、懇談会は無事に終わりました。

 

 

お湯の温度を下げるのに必要なのは謝罪です。

これしかありません。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 言い訳よりもまず「ごめんなさい」と素直に言えることが大事。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。