子どもたちの失敗を受け止める

学級担任

素敵な女の子のお話

教室でちょっとした事件が起こりました。

ある女の子の話です。

 

今、お弁当箱があったかいまま、スープまで保管できるお弁当箱がありますよね。

あれ、よく開かなくなるんです。

「先生、開けてください」

これ、お昼によく言われました。

 

それで事件が起こります。

四苦八苦しながら、弁当箱を開けようとしている男の子がいました。

「開けてあげようか?」と声をかけようとした瞬間。

 

バシャ〜ん!

 

弁当をぶちまけます。

そしたら、お隣の女の子のカバンにも被害が。

もう、事件です。

 

すると、その女の子は言います。

「大丈夫?はい、タオル」

いやいや、あなたのカバンにスープが飛んでますけど…。

どれだけいい人なの??

ニコニコしながら、ハンカチを貸してあげる女の子。

 

素敵すぎます。

 

この場面を見て、僕の脳裏に小学生のころの苦い思い出が蘇ったのでした。

 

あなたのおかげで、僕は先生になりました

あれは小学4年生のとき。

 

たまたま担任の先生がお休みだったのでしょう。

時間があるので、自習の間に図画工作の先生がみんなの似顔絵を描いてくれると言うのです。

みんな大喜び。

自習プリントもそっちのけで列を作り、描いてもらうのを楽しみにしていました。

 

20分ほど並んだころでしょうか。

ようやく僕の番になりました。

さすが図画工作の先生です。

スラスラと似顔絵を描き始めました。

 

しかし、お世辞にも上手な絵には見えず、思わず吹き出してしまいました。

すると、僕の鼻の穴から先生の机の上に「鼻◯そ」が飛んでしまったのです。

 


「しまった!」と思い、 僕の頭の中は、真っ白になりました。

 

すると次の瞬間、彼女は顔色をかえて怒鳴りました。

「汚い!

 早く片付けなさい!

 なんなの!」

激怒した先生の声。

周囲の目は一斉に僕に注がれました。

恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、自分の鼻◯そをテイッシュで拭いました。

 

居たたまれなくなった僕はそのまま自分の席に戻りました。

目から、今にも涙がこぼれそうでした。

描いている途中で帰った僕に、その先生はさらに罵声を浴びせたのでした。

 

以来、僕は美術が嫌いです。

そして、学校の先生が嫌いです。

そんな先生のいない素敵な学校をつくるために、この職業を選びました。

 
それにしても、もしも図画工作の先生が彼女だったら、美術を好きになっていたかもしれません。
 

 

寛容さが、人の器を大きく見せる

失敗はだれにでもあります。

そんな失敗をどう受け止めるか。

 

許し、受け止め、認めることは、子どもたちの人生さえ変えてしまいます。

 

子どもたちを大きな器で受け止める、それが「先生の志事」です。

子どもたちの言動に感情的なってしまうのは、子どもたちと同じステージに立ってしまうから。

もっと、高いステージから子どもたちを見守りたい。

 

子どもたちの失敗までも受け止めてしまうから、愛されるのだと思います。

失敗をも愛する。

感情的になって叱ることは、とても恥ずかしいことなのだと思います。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 もっと高いステージに立って、子どもの失敗を受け止める。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。