子どもと『つながる』生徒指導
机上の理解で大丈夫?
カウンセリングマインドという言葉が定着して久しくなります。
ところで、カウンセリングマインドというものを言葉で知っていても、真の意味で実践できている先生は、それほど多くないような気がしています。
カウンセリングマインドとは、「相手の立場にたって、共感的に相手の気持ちや行動、価値観を理解しようとする心がけ」なのだそうです。
言葉にすると簡単ですが、真の意味で実践するのは容易ではありません。
「相手の立場に立つ」って、具体的にどうすることよ?
「共感的に理解する」って、つまりどうなったらいいの?
…と聞かれたら、結構困ってしまう人が多いのではないでしょうか。
だって、僕も困るもん!
傾聴という言葉もよく耳にするようになりました。
しかし、一番の問題はカウンセリングマインドも傾聴も、研修の場で講師さんから説明されただけで、「なんとなくこういうもんかな〜」というレベルで実践されているのが実際なのではないでしょうか。
ラポールって、近づけばいいの?
カウンセリングマインドや傾聴を勘違いしている先生は、どんどん子どもに近づいていきます。
「先生はあなたのことを心配しているよ。ねぇ、話してくれる?」
「ねぇねぇ、話してくれるゥ〜?」
「ねぇねぇねぇねぇ…、話してくれるぅ〜〜〜〜?」
どんどん近づいていきます。
そして、子どもたちが心を開いて話しくれないことに傷つきます。
しまいには、「何で話してくれないの!」って怒りだします。
ナイスカウンセリングマインド!
どんどん、どんどん近づいていく。
どんどん、どんどん近づいていく。
そうやって、知ろう知ろうとすればするほど、子どもたちは息苦しさを感じます。
近づけば近づくほど見えなくなります。
試しに、額と額がくっつくほど近づいて見てください。
瞳しか見えなくなります…。
表情すらわからなくなります。
でね、ここからが大事なこと。
相手のことを本当に知ろうと思ったら、一歩、いや二歩下がってみるんです。
んで、見るんです。
ほら、子どもの姿、全体が見えませんか?
下がれば下がるほど全体が見渡せます。
下がれば足の先から頭の先まで見えるのに、近づくから見えないんです。
近づくことが子どものためだと思ってしまうと、お互いに苦しくなります。
子どもたちとつながっていますか?
子どもたちから話を聞くとき、僕らは自分たちが聞きたいことを聞きます。
それは必ずしも子どもたちが話したいことではありません。
子どもたちの話したいことと、あなたの聴きたいことが一致するとは限りません。
その差異が先生と児童生徒の距離を遠ざけます。
最初に創造すべきは『つながり』です。
真の意味で「つながった」ならば、言葉が必要なくなります。
沈黙を味わうことができます。
そして、ポツリポツリと子どもたちは話をしてくれるようになります。
「えっ、そんなこと起こるの?」
そう思われるかもしれません。
ですが、長い間、中学校で生徒指導を中心にやってきた僕ですが、今ほど穏やかな気持ちで生徒指導ができたことはありませんでした。
穏やかな気持ちで生徒指導をする…、どういうこと?って思われるかもしれませんが、本当に今、僕はそういう状態なんです。
なぜ『つながり』なのでしょうか。
ラポールってなんだか一方通行な気がするんです。
もちろん、本来はそういうものじゃないんだろうけど。
医者と患者のラポールとか言うじゃないですか。
そりゃ、患者は医者を信頼するかもしれないけれど、医者が患者を信頼するって状態がイマイチ僕の中ではしっくりこないのです。
だからね、教室ではラポールよりも『つながり』を大事にしたいんです。
子どもたちと僕が真の意味で「つながった状態」を生み出すのです。
僕はそれをNVC(非暴力コミュニケーション)という方法で行っています。
僕は、NVCが教室に革命を起こすのではないかと考えています。
ハッピーな先生になるためのステップ
真の意味での『つながり』を創造することが、生徒指導のスタートライン。