教科に対する関心・意欲・態度

教科に対する関心・意欲・態度

忘れ物で評価する

忘れ物をチェックする。

それを「関心・意欲・態度」で評価する。

よくあることです。

 

 

でもね、僕はそこに疑問を感じたの。

忘れ物をするから、関心がない。

忘れ物をしない子は、関心がある。

それって本当なのでしょうか?

 

 

だってね、大人だって忘れ物するでしょ?

うっかり忘れることってあるじゃない?

よくよく持ち物を確認するんだけど。

旅行のときなんて、一つぐらい何か忘れてる。

 

でもね、旅行への関心・意欲・態度なんて最高にAだよね。

でもさ、忘れることあるもん。

だって、人間だもの。

 

 

チェックされるから忘れ物をしないとしたら、それって意欲が高まったことになるんでしょうか。

それって教科への関心ではなく、成績への関心なんじゃないだろうか。

確信がもてませんでした。

 

 

ですから、もうここ10年忘れ物なんてチェックしてないんですね。

申告はさせるけど、それは支援するため。

ノートを忘れた子にプリントを用意するため。

教科書を忘れた子に代わりを用意するため。

 

「先生、ノートを忘れました」

「じゃあ、このプリントを使っていいよ」

 

「先生、教科書忘れました」

「じゃあ、先生のを貸してあげる」

 

そういうやり取りのために、申告はさせています。

 

 

チェックしないと、忘れ物が続出する?

成績をつけるためにチェックしたりはしてないんですね。

それじゃあ、忘れ物をする子が続出するのでは?

そんなふうに質問されることがあります。

 

 

若いころ、忘れ物を成績に入れていた時代がありました。

正直、今も昔も忘れてくる子の数には大差はないんです。

 

 

わざと忘れるわけではなく、基本にうっかり忘れてくるわけだから。

 

 

それにね、圧倒的に楽しい授業をするだけなんだよね。

やっぱり忘れ物をしたら、楽しくないでしょ?

どうしたって忘れ物があると、同じように取り組めないから。

 

 

結局、「忘れ物が続出するかも」なんて恐れはね、自身の授業力に起因していることが多いと思うの。

 

 

もっと授業力を磨きたい!

そう思って、ここまで来ました。

 

 

どんなに荒れた学校でも、有名私立高校にバンバン進む学校でも。

同じ気持ちで授業力を磨いてきました。

結局は、そこだと思うのです。

 

 

 

挙手しない子は意欲がないの?

ちなみに、挙手の回数とか、成績に入れたりしてます?

たくさん手を挙げたから、良い成績をつける。

それ、おかしいみたいですよ。

 

 

これね、文部科学省の調査官の講演で伺った話なんです。

 

たくさん挙手をするでしょ?

それは教科への関心でしょうか。

それとも、成績への関心でしょうか。

 

 

「教科に対する関心・意欲・態度は、そういうものではない」

 

「手を挙げる子は意欲があって、手を挙げない子は意欲がないなんてことはない」

 

 

そうやって、文部科学省の調査官の先生がお話になったのですね。

ですから、これはもう、そう理解していただいていいのだろうと思います。

 

 

だってね、

恥ずかしがり屋の子、自信のない子は手を挙げられないですよね。

じゃあ、その子たちは果たして意欲のない子なのでしょうか。

僕はそうは思いません。

 

 

ですから、先生のお手伝いをするとか、ましてや従順でいい子とか、そういうことで評価しているとしたら、おかしな話なわけです。

 

先日もあるお母さんから、こんな話をされました。

 

「学校の先生に気に入られないと成績がよくならない」

 

そんなことってあるのでしょうか。

あるのだとしたら、悲しいことですし、恥ずかしいことであるなぁとも思うのです。

 

 

ハッピーな先生になるためのステップ

正当に評価することは、子どもたちのがんばりへの敬意であることを忘れない。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。