「愛のムチ」の時代は終わった
ある女の子に出会いました。
その子はクラス合唱の伴奏者でした。
難しい曲だったんですね。
でもでも、本当によく練習してきました。
本番まで1ヵ月。
途中間違えることはあるけれど、僕の経験で言えば、本番までには心配なく演奏できるペースです。
「いいね〜」
「大丈夫!大丈夫!」
そんな声をかけていたんですね。
でも、彼女は浮かぬ顔。
「私は下手です」
「こんな演奏じゃダメです」
そんなことばかり口にするんです。
それである日、涙ながらに言うのです。
彼女はピアノ教室に通っていました。
それでね、ピアノの先生からこんな言葉ばかりをかけられる。
「なんでこんなことも弾けないの?」
「下手くそ」
「練習してきたの?」
もうね、彼女は心が折れてしまった。
でもね、わかるの。
そのピアノの先生だって、そうやって育てられてきたんだよね。
スポーツの世界でも音楽の世界でもあるの。
いや、大人が子どもたちに関わるとき、そんな経験をしてきているんですよね。
「愛のムチ」
それ、もうね、負の連鎖だなって思う。
児童虐待の現場に関わることがある。
その親もまた、同じような子育てをされていたりする。
子どもとの関係性について、僕らはもっと真剣に向き合なきゃいけないなって思います。
「愛のムチ」
そんなものはもういらない世界が始まっているんだよ。
罵れば弾けるようになるのでしょうか?
厳しく指導すれば上手くなるのでしょうか?
そのムチは、自己満足のムチなのです。
子育てに迷ったときに出逢いたい100の言葉
握ったムチを手放して、この子の手をそっと握ろう。