ただ目の前の子どものためだけに

なんだか知らないけど、
血だらけだったんです。
ちょうど2年目の春。
ウチのクラスに
暴れん坊の子がいたのね。
ナイフみたいに尖っては♪
触るものみな傷つけた〜♪
ギザギザハートの子守唄だったの。
TOKIOが出演していた
ガチンコファイトクラブって
あったじゃない?
もうね、
あんな感じ。
「目が合った」
「なんか気に入らない」
そんなので、
つかみかかるわけさ。
新卒2年目。
まあ、初めての試練です。
その年が一番磨かれたなぁ。
むちゃくちゃ成長できました。
でね、まだ春のこと。
授業中に事件は起こりました。
授業中って言ったって、
彼ね、それまで教室なんてものに入ったことがなかったわけで、
とりあえず座って、
僕が手渡したお手製プリントに落書きをしてるだけなんだけど。
突然、
「目が合っただろ〜!」
みたいな感じでつかみかかるわけだ。
ゴングです。
カ〜ン♪
間に入った引き離すんだけど、もう大変。
春から何回目だよ、このくだりは…。
そんな感じだったの。
もう、他の子どもたち固まっちゃってね。
助けも呼びに行けない状況で。
悪戦苦闘すること数十分。
一人の女の子が、
そっと教室を抜き出して
職員室に助けを呼びに行ったのね。
で、ようやく助け舟の先生がやってきて、
引き離すことができた。
で、
その先生たちが一言。
「校長先生が呼んでます」
なんだ?
で、
気がつくと自分のものなのか
だれのものなのか
よくわからない血がたくさんついていた。
正確には、「ついてた(らしい…)」だね。
どうも職員室に行ってくれた女の子がね、
「先生が血だらけで大変!」みたいな伝え方をしたようなのね。
で、
校長室に入るじゃない?
「はい、なんすか?」
丁寧な敬語で話をしますよ。
さすが社会人。
座ると校長&教頭が静かに話を始めた。
「公務災害というのはですね…」
なんと子どもがまだ暴れてるのに、
彼らは公務災害の説明をしだしたの。
しかも、
結構ややこしいから
公務災害にはしないでね♡
的な話をされたの。
いろいろ煩雑だって。
新卒2年目。
管理職の言うことは絶対ですからね。
僕は一言こう言った。
「お前ら、バカか!」
僕は一喝すると、
そのまま校長室を飛び出しました。
(暴れてるアイツの話も聞かなきゃ。
クラスの子どもたちに謝んなきゃな。
くだらねぇ話をしている時間なんてないのだ)
2年目の春のお話。
以来、
管理職は僕に敬語で話すようになりました。
若いって素晴らしい♡
ハッピーな先生になるためのしつもん
目の前の子どものために今この瞬間何ができるだろう?
