「できない自分」を受け入れられる子が最強説
初めてのクラウドファンディング
僕がクラウドファンディングの存在を知ったのは、
今から2年前。
「上海心書プロジェクト」のときだった。
前年、心書家の岸本亜泉さんをお招きして、
僕の学級で「心書」の授業をしていただいた。
人間味あふれる亜泉ちゃんのキラキラした姿は、
思春期の子どもたちたちにたくさんの刺激を与えた。
とりわけ、女子生徒の反応は驚くもので、
1年間学級担任をしてきた僕の存在など
完全に霞んでしまった。
その授業を参観していた先生が翌年、
「今度は全学級で心書の授業をしてほしい」
と熱烈オファー。
心書家が渡航するための費用を捻出すべく行われたのが、
「上海心書プロジェクト」だった。
アテンダーとして参加した妻の交通費ぐらいは支援したいと、
僕も支援することにした。
あれが、初めてのクラウドファンディング支援だった。
クラウドファンディング初挑戦
あれから2年。
今度は僕がクラウドファンディングに挑戦した。
9月1日は子どもたちの自殺が最も多い。
その日のために何かがしたい。
そう思って開催したのが、
「September one project」だった。
愛知県内8会場で映画上映会を行う、
映画上映ツアーだった。
支援者数は100人以上。
70万円を超える資金をいただき、
子どもたちを無料ご招待することができた。
のべ800人を超えるお客様にご覧いただき、
全8会場を完走することができた。
今回のクラウドファンディングで
初めて「クラファン」の存在を知った方。
初めて支援を知った方がたくさんいらっしゃった。
中には現金を持参してくださる方もいて、
ホントに感謝しかない。
クラウドファンディングは簡単に成立させられるのか
それで、このクラウドファンディングの話をすると、
わりと多くの人が
「簡単にお金を集められるんだ」
という反応を示す。
果たして、そうだろうか。
今回のクラファン成功の要因の一つは、
プロダクトが共感を得やすかったからだ。
そして、これまで僕が毎日メールマガジンを発行し、
ブログを更新し続けたことも関係があると思う。
メールマガジンの読者数やブログのPV数という発信力。
だが、それだけではない。
子育てと教育の専門家として、
2年以上、毎日子どもたちのことを
書き続けてきた。
これが一つの信用となって、
クラファンの成功につながったと思っている。
これが、
「お年寄りが集まるカフェを作りたい」とか、
「カンボジアに井戸を掘りたい」だったら、
きっと成功しなかったと思うのだ。
それを僕がやる理由がない。
それでは支援は集まらない。
って考えると、どう生きてきたか。
世の中に何を届けているかってのが重要になる。
キングコングの西野亮廣さんのクラウドファンディング
キングコングの西野亮廣さんは、
いとも簡単にクラウドファンディングを成立させてしまう。
彼を見ていると、
クラウドファンディングが
あたかも簡単にお金を集められる仕組みに見えてしまう。
だが、そうではない。
西野さんには、ファンがたくさんいる。
一気にシェアされる。
ニュースに取り上げられる。
そういう巨大なコミュニティーがあるから、
簡単に成立させているように見えるのだ。
ファンをつくる
それって、西野さんが「芸能人だから」ではない。
西野さんが積み上げてきた信用なのだ。
「芸能人」ならだれが成功させられるってわけじゃない。
彼のファンと他の芸能人のファンは明らかに異なる。
AKB48選抜総選挙開票イベントのスピーチで
NMB48須藤凜々花さんが結婚宣言をした。
あのとき、
ファンの皆さん(なのか、よくわからない人たちなのか)が、
一斉に「裏切られた」と批判した。
(あ〜、そういうものなのね)と思った。
「結婚おめでとう!」ではなく「「裏切られた」になっちゃうんだなと。
まあ、アイドルを応援している人は、疑似恋愛を楽しんでいるわけで、やっぱ結婚されたら裏切られたになっちゃうのか。
で、まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、
ファンの定義が違うことは理解できただろうか。
政治家の人が浦和レッズのサポーターに向けて辛辣なツィートをしていたのが話題になったっけ。
でも、レッズのサポーターはチームが好調のときも、不調のときも、埼玉スタジアムを真っ赤に染め上げる。
まさに、ファンだなと思う。
ファンだからこそ、あのツィートが許せなかったのだろう。
ちょうどマツダミヒロさんが、
ファンの定義をわかりやすく教えてくれている。
「うまくいってるときも、
うまくいってないときも応援してくれるのがファン。
だから、自分の一番のファンは自分」
そんなわけで、
これからの時代に大切なのは、
いかにして「ファン」をつくるかってことになると思う。
東大に行ける子よりクラファンを成立させられる子
だが、「普通の人」には
やはりクラウドファンディングの敷居は高い。
これはもう、
どう生きてきたかが問われてしまうのだ。
クラウドファンディングを始めるにあたり、
「審査」というものがある。
無職の僕は、
「審査」という言葉に弱い。
今や「クレジットカード」を作れない立場なのだ。
「ご職業は?」って聞かれたら終わる。
ゲームオーバー。
ところが、そんなことは聞かれなかった。
僕が聞かれたのは、たった3つである。
「拡散力をもっていますか?」
「SNSで応援してもらえますか?」
「プロジェクトを実行する仲間はいますか?」
これが、これからの時代の基準なのだと痛感した。
キングコングの西野亮廣さんがいとも簡単に
成立させているように見えるのは、
これからの時代の基準を満たしているからなのだ。
であるならば、これからの時代は、
応援される人を育てる必要がある。
「愛される子を育てる」
これは僕の一貫した教育のテーマだった。
具体的に言うと
「助けて」と言える子である。
で、だ。
「助けてもらえる子」を育てるならば、大切なことがある。
それは、「完璧さ」を求めないことだ。
「完璧さ」を求めれば求めるほど、
子どもたちは自分を許容できなくなる。
「できない自分」を認められなくなる。
「助けて」と言えるのは、
「できない自分」を受け入れられた人間だけなのだ・
失敗を許せない大人は多い。
得意でないことを一人でやろうとする者は多い。
「手伝って」の一言が言えたなら、
もっと楽に生きられるのになって思う。
キングコングの西野亮廣さんなんて、
まさに助けられ上手。
次から次へとプロダクトを打ち出し、
手伝ってくれる仲間を増やす。
それを「共犯者を増やす」と表現しているわけだけど、
本当に天才だと思う。
そんなわけで、
これからの子育ては東大・京大に入学させることを目標にしてはいけない。
30代になったときに、クラウドファンディングを成立させられる人間を育てることの方が大切だ。
だから、僕らも子どもも未熟な方がいい。
完璧さなんて求めないで。
助けてもらえばいいんだもん。
創造的な人生を生きるためのしつもん
信頼を積み重ねるために、まず何から始めますか?