「正義と悪」の、その先へ。
思春期の子どもの気持ちはわかりやすい
思春期の子どもたちって、
むちゃくちゃ表情に出るからね。
むちゃくちゃ態度に出るからね。
彼ら彼女らがどんな気持ちで登校してきたかなんて、
一目でわかるんだよね。
で、「なんか浮かね〜顔してんな?」なんて声をかける。
まあ、ツラツラと朝の様子なんか話してくれるよね。
そういうとき、「別にィ…」って、エリカ様風に言う子はほとんどいない。
いや、いないな…。
彼ら、彼女らからの合図だからね。
SOSと呼んでいい。
教室入ってきた瞬間の浮かぬ顔は
「先生、聞いてよ」
の合図なわけ。
カバンを机にバン!とか置いたら、
もうそれは合図なわけ(笑)
わかりやすいよね。
だから、ただ聴く。
ふ〜〜んって、ただ聴く。
アドバイスなんてしない。
ただ聴く。
んで、まあ、スッキリすると表情も明るくなるんだな。
それでOK。
気分が変わったなら、それでOK。
僕はそう思う。
家庭での会話はどうだい?
思春期ともなると、親子の会話もめっきり減るみたい。
あ〜〜、もちろん家庭によるけどさ。
3者面談なんてすると、まったく目を合わせない親子もいるもんな。
んで、子どもの進路の話をするじゃない?
こっちとしては、「ご家庭で十分に話し合ってきてくださいよ」ってのがある。
でも、カケラも話し合えてないわけ。
で、ケンカが始まる。
しかも、僕を介して…。
「この子は何も話さないんです!」
「お母さんだって、何も聞いてくれない!」
「とにかくこの子は!」
「とにかくお母さんは!」
…って、互いに僕に話すわけ。
僕はそれを、ただ聴く。
必要以上に大きく、ただ聴く。
オイ、コラ!
ふたりでやらんかい!
…と言いたいところを、大人の僕はグ〜っと堪えて、ただ聴く。
もう、ひたすら聴く。
そして、最後に一言、こう伝える。
笑顔で、こう伝える。
家でよ〜く話し合ってから、また明日出直してきてください。
子どもの自殺に対する専門家の意見がなんか気に入らねえんだな。
子どもって、気持ちがすごく表情や態度に出るのよ。
僕らはそういうものにとても敏感にアンテナを張っていたわけ。
だからね、子どもの自殺のニュースを見るたび、すごく気になるんだよ。
「何も気づきませんでした」っていう関係者たちのコメントがさ。
親を責めるつもりはないんだけど、何も変化がないなんてこと、あんのかな…って思う。
んでさ、心理学の専門家の先生がさ、こんなコメントを残していたわけ。
「子どもは、親に心配をかけたくなかったから、そういう表情を見せなかったのだ」って。
なあ、専門家の先生よう。
教えてくれよ。
お前、そいつに話を聞いたのかよ?
なあ、本当にそうなのかよ?
「だから、学校が悪いんです」
「だから、いじめた子が悪いんです」
そうやって、「悪者」を生み出した方が、物事はシンプルに見える。
この世界を、正義と悪に切り分けた方が簡単だ。
だけど、問題は何も解決しない。
もっと、子どもとつながろう。
もっと、子どもの心に敏感であろう。
悪者を見つけて成敗するよりも、そっちの方が僕は救える子どもが増えるんじゃないかなって思うよ。