活気のない教室の作り方


1年ぶりに上海に帰ってきました。

 

上海で暮らした3年間。

それは価値観を揺さぶられる時間でした。

 

 

日本の常識は、ここでは常識ではありません。

「えっ!なにそれ!」って感じるたび、

「これは日本の中だけの常識なんだな」と気づかされました。

 

 

そんなことに毎日出会う。

それが上海という街でした。

 

 

ところが、です。

久しぶりの上海はどこか違います。

 

 

ルールが行き届いているのです。

以前は、地下鉄に乗るとき降りる人より先に人が乗ってきました。

ですから、人を押しのけて降りないと、降りられませんでした。

 

 

それがどうでしょう。

ちゃんと降りる人を待ってから乗ってきます。

 

 

横断歩道を渡るとき、車が優先でした。

いつもヒヤヒヤしながら道路を渡ります。

 

 

それがどうでしょう。

車がちゃんと停まるのです。

 

 

聞けば法改正があり、停まらないと罰金なのだとか。

ちゃんと交差点にカメラが取り付けられ、道路をチェックしているそうなのです。

 

 

そうそう。

相変わらず路上でタバコ吸っている人はたくさんいるのですが、ちゃんと灰皿にタバコを捨てているおじさんを見かけました。

驚きです。

 

 

ただ、それと引き換えに、なんだか昔の活気が失われた感じがしたのは皮肉なものです。

 

 

エネルギッシュな上海。

みんなそれぞれ、好きな色の服を纏います。

ですから、けっこう派手な色合いなんですね。

 

 

でも、久しぶりの上海は、地味な色合いが目立ちました。

ユニクロっぽい…。

それは、少しだけ日本の風景に似ていました。

 

 

 

ルールを厳格化するほどに、人は活気を失うのかもしれません。

 

 

 

ルールがあることを否定するつもりはありません。

それによって、社会はスムーズに回っていきます。

 

 

それと同時に、「自分がどうしたいか」よりも「ルールに合っているか」を考えて行動するようになります。

それは自分軸ではなく他人軸で行動することにつながります。

 

 

他者を思いやるという日本の文化。

まず、自分はどうしたいのかを大切にする中国の文化。

 

 

どちらが良いとか、悪いとか。

そういうことはないのです。

 

 

ただ、思う。

厳格にルールを設けるほど、僕らは活気を失うのかもしれないと。

 

 

ある学校に赴任したら、ルールだらけで、「こんなに覚えられません」と伝えたことがありました。

どこか活気がなく、ロボットみたいな子どもがいました。

 

 

ルールでガチガチに固めて子どもたちを管理する。

すると、一見きちんと学級経営していように見えます。

 

 

でも、間違えないでください。

先生のお仕事は、子どものエネルギーを引き出し、主体的に生きられる子どもを育てることにあるのです。

厳格であること、管理することが指導力ではないのです。

 

 

「ルールなんていらない!」と言っているのではありません。

何事もバランスが重要なのですよ。

 

 

魔法の質問

あなたを縛りつけているものは何ですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。