「バランス」よりも「順序」が大事

こっち見て行動

これまで、たくさんの父子家庭・母子家庭の子どもたちと出会ってきました。

父子家庭・母子家庭の子どもは、愛情不足で手がかかりそうなイメージがあります。

 

 

学級の半分が父子家庭・母子家庭なんてこともありました。

もはや、ご両親が離婚されているなんてことは驚くことでもないのです。

 

 

そういう僕の経験からお話をさせていただくならば、父子家庭・母子家庭の子どもが「愛情不足で手がかかる」なんてことは一切ありませんでした。

もう断言しておきます。

 

 

一切ないのです。

 

 

それよりも、夫婦が不仲であったり、お父さんの影がまったく見えなくてお母さんが子どものことを一手に引き受けている、そんなご家庭の方が子どもは不安定でした。 

 

 

夫婦の仲がいい。

これが一番、子どもの心の平穏につながります。

 

 

夫婦の仲が悪いぐらいならば、婚姻関係を解消した方が子どもにとっては良いのではないか。

そんな乱暴な考え方すら浮かんできます。

 

 

家庭に流れる空気感はそれほど大切です。

僕ら夫婦も、時折仲が悪くなります(笑)

すると、その影響は子どもたちの心に直結します。

その姿を見て僕は親として深く反省するわけでして。

 

 

さて、子どもたちには「父性性」と「母性性」の両方を与えることが、健全な育児には必要です。

 

 

その子のありのままを「受容」「許容」「承認」する母性性。

非行少年少女たちが育ってきた家庭には、この「母性性」が欠落していると、児童精神科医の佐々木正美先生はおっしゃっています。

 

 

 

「規律」「約束」「義務」といったことを教える「父性性」。

実はこれ、豊かな「母性性」がなければ、入っていかないのだそうです。

 

 

ですから、年齢相応のルールを守ることができる子は、母親の姿を見ればわかるのだそう。

幼稚園や保育園の先生ならば、よくご存知のこと。

「子ども社会」の中でひどく逸脱しないのは、朝夕に十分な愛情を受け取っているからのようです。

 

 

大切なことは「父性性」と「母性性」のバランスではありません。

実は、「順序」が大切なのです。

 

 

まず、「母性性」で「根っこ」を育む。

次に「父性性」で「幹」を育てる。

「根っこ」もないのに、「幹」を育てたら倒れてしまいます。

 

 

昨今は「幹」や「根っこ」も育っていないのに、「枝葉」ばかりを気にされる方の多いこと。

 

 

さて、僕が出会ってきた父子家庭・母子家庭の子どもたち。

良い意味で「手をかけられすぎていない」ところがありました。

 

 

愛情は十分かけられています。

もちろん、両親が揃わないことで寂しい思いをする場面もあったでしょう。

それでも、十分愛情をかけられている。

そんな自覚があったように感じます。

 

 

親御さんも、行き届かぬことがあることを自覚されています。

だからこそ、子どもに多くを求めないところがありました。

3者面談などをすると、心地の良い空気が流れるのです。

 

 

まず、「母性性」で「根っこ」を育て、「父性性」で「幹」を育てる。

「幼稚園や保育園」、「学校」には「幹」を育てる機能があります。

もちろん、「母性性」も兼ね備えています。

 

 

でもね、家庭の力には敵いません。

慈しむということ。

ただ愛するということ。

深く根をはるのに大切なことは「愛」なのです。

 

 

保護者は保護者であって教育者ではない。

大切なことは「順序」。

「根っこ」なくして「幹」は育たないのです。

 

 

子どもとつながる魔法の質問

 ただ愛するために大切にしたいことは何ですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。