チームをつくる 〜LS北見で紐解く組織図〜


平昌オリンピックに日本代表として出場したLS北見。

準決勝で韓国に敗れるも、3位決定戦で英国を破り史上初の銅メダルを獲得しました。

 

 

上図がそのときの人間関係図です。

 

本橋麻里 夢△1花□3□2D7

藤澤五月 和△4樹□4◯4P38

鈴木夕湖 激□2陽△1◯2P7

吉田夕梨花 奇◯4地□3P12

吉田知那美 和□3灯◯3◯3P19

JD(コーチ) 尊◯4地△4◯4P21

 

「チーム青森」として2006年トリノオリンピック、2010年バンクーバーオリンピックに出場した本橋麻里選手。

彼女の宿命は『夢』。

しかも△1。

 

 

大きな夢を抱き、2010年LS北見はスタートしました。

 

 

チーム編成を見てみよう

 

本橋麻里 夢△1花□3□2D7

馬渕恵 和◯1花□3△4P3

鈴木夕湖 激□2陽△1◯2P7

吉田夕梨花 奇◯4地□3P12

江田茜 学◯3山◯2△2 P53

 

唯一適応値の高い江田茜選手。

なんとP53です。

 

 

チーム最年長の馬渕選手、リーダーの本橋選手の相性は「友達」。

きっとこの2人、コミュニケーションはスムーズだったことでしょう。

 

 

「夢」で「△」の本橋選手と「和」で「◯」の馬渕選手。

とても良いコンビであったと想像します。

 

 

ところが、江田選手とこの2人は「他人」。

しかも、吉田夕梨花選手とは「ライバル」。

ここのコミュニケーションはスムーズでなかったかもしれません。

 

 

そんなわけで、江田選手がチームを離れ、吉田知那美選手が加わったのは2014年のことでした。

 

 

本橋麻里 夢△1花□3□2D7

馬渕恵 和◯1花□3△4P3

鈴木夕湖 激□2陽△1◯2P7

吉田夕梨花 奇◯4地□3P12

吉田知那美 和□3灯◯3◯3P19

 

適応値も低くなり、いくぶんマイルドになりました。

これで⬜︎が2人、○が2人。

氷上で考えれば、△がもう1人欲しいところです。

 

 

そして、2015年。

馬渕選手が引退し、藤澤五月選手が移籍してきました。

 

 

本橋麻里 夢△1花□3□2D7

藤澤五月 和△4樹□4◯4P38

鈴木夕湖 激□2陽△1◯2P7

吉田夕梨花 奇◯4地□3P12

吉田知那美 和□3灯◯3◯3P19

本橋選手と本橋麻里選手は「ライバル」の関係です。

本橋選手も藤澤選手が移籍したことで「最強のバックアッパー」に回ることになります。

 

 

その距離感や在り方が、△の藤澤選手の火をつけたと想像します。

「チーム青森」の一員として、オリンピック2大会に出場した本橋選手は、△の藤澤選手にとってやっぱ「なんかすげ〜存在」ですからね。

藤澤選手もきっと尊敬していたことでしょう。

 

 

そんなわけで、氷上の選手を見るとこんな感じです。

 

△1名、⬜︎2名、◯1名。

非常にバランスの取れた構成になっています。

 

 

相性を見ても分かる通り、藤澤選手を中心にまとまりやすいチームになっています。

エースと、それを支えるメンバー。

 

 

さらに、エースが尊敬する本橋麻里選手というリーダーの存在。

しかも、△同士。

本橋選手の「夢」が現実になるチームができあがったわけです。

 

 

なおかつ、コーチのJDは藤澤選手と「夫婦」の関係です。

親分である本橋選手の言葉を、子分であるJDコーチはよく聞いたことでしょう。

 

 

そして、藤澤選手へ伝えていきます。

「ライバル」である本橋選手からではなく、JDコーチから迂回して伝える。

これもまた良かったかもしれません。

 

 

そんなわけで、LS北見は平昌オリンピックにてカーリング史上初のメダルを獲得したのでした。

 

 

チームをつくる 

結果を出すチーム。

それはコミュニケーションが円滑であること。

意思の疎通ができていないチームは、チームの持つポテンシャルのすべてを発揮できるわけがありません。

 

 

まず、適応値の差と相性。

そこは良い悪いだけでなく、リアルな人間関係や年齢・性別に寄るところもあるでしょう。

 

 

さらに、「◯△⬜︎」のコミュニケーションの違いを鑑みる。

けれど、「◯△⬜︎」が同じ人を集めれば良いかというとそうでもなく。

すべてはバランス。

 

 

結果を出す組織には理由があります。

 

魔法の質問

あなたのチームのコミュニケーションは円滑ですか?

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。