「ご褒美」を与えることは人材育成において本当に有効な手立てか

みんなで文字を書く

人を動かすのに、「ご褒美」は有効な手段でしょうか?

今日はそんな話を書きたいと思います。

 

 

子どもたちにクレヨン画用紙を手渡し、

ある実験をしました。

 

 

Aグループの子どもには、

「上手に絵が描けたら、

 ご褒美をあげるよ」

と伝えました。

 

そして、絵を描いたあと、

ご褒美をあげました。

 

 

 

Bグループの子どもには、

ご褒美の話は

しませんでした

 

そして、絵を描いたあと、

ご褒美をあげました。

 

 

 

Cグループの子どもには、

ご褒美の話をせず、

ご褒美もあげませんでした。

 

 

 

その結果…、

 

 

 

 

Aチームの子どもは、

他のチームより長時間

絵を描きました。

 

 

ですから、

「子どもにご褒美を与えること」は、

一見有効な手立てに見えます。

 

 

 

 

 

本当に、

そうでしょうか?

 

 

 

 

この実験には、

続きがあります。

 

 

 

それから数週間後。

それぞれのグループに、

またクレヨンと画用紙を手渡しました。

 

 

今度は

「ご褒美」は

  ありません。 

 

 

すると、どうでしょうか。

 

 

 

BグループとCグループの子どもは、

前回同様、絵を描きました。

 

 

 

ところが、Aチームの子どもたちは、

絵を描くことに

まるで興味を示さなかったのです。

 

 

 

(なんだ…。

 ご褒美をくれないんだ。

 じゃあ、僕、描かないよ)

 

 

ってな感じです。

 

 

 

一度でも「ご褒美」という名の報酬を受け取ると、

「やりたいからやる」

 という内発的動機は、

「ご褒美を

 もらえるからやる」

に変化してしまうのです。

 

 

 

「ご褒美」を与えることは、

即効性のある手立てです。

 

 

 

しかし、それはやがて、

ご褒美をもらえるならやる

ご褒美をもらえないならやらない

という状態につながります。

 

 

 

特に注意が必要なのは、

こんなときです。

 

 

子どもが自発的に何かをやったときです。

自発的に勉強をした。

自発的にお手伝いをした。

 

 

こんなとき、

子どもは「やりたいからやる」という

シンプルな動機に従って行動しています。

 

 

そんなとき、

大人はついついうれしくて

お小遣いなどを与えてしまう。

 

 

 

すると、どうでしょう。

 

 

ご褒美を与えてしまうと、

「やりたいからやる」

  は、

「ご褒美を

 もらえるからやる」

  に変わります。

 

 

 

それは結果的に

ご褒美をもらえるならやる

ご褒美をもらえないならやらない

という状態を生み出します。

 

 

 

アメとムチを使い分ける、などと言いますがね。

人材育成にはどちらも必要ないのかもしれません。

 

 

 

「◯◯したら△△させてあげる」的なアイデアは、

一見有効に見えて、その実、大切な「何か」が欠落した手立てともいえます。

 

 

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くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。