なぜあなたと話すと女性は不機嫌になるのか
女性の話を聞いていて、イライラしたことはありませんか?
「いったいこの人は何が言いたいのだろう?」と頭が混乱したことはありませんか?
仕事で疲れて帰ってきた途端、「ねえ、聞いてよ」で始まる妻との会話。
「今日こんなことがあってね。それからあんなことがあってね」と話し始める。着地点もなくオチもない。要点が絞れず、話はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
本当に取り留めのない話が続きます。
それで男性は耐えかねて言うのです。
「で、何が言いたいの?」
(こっちは仕事で疲れてるんだよ!)という感情的なものもあって、少し怒気をはらんだ声で尋ねる。すると、彼女たちは不服そうな顔を見せるか、もしくは悲しそうな表情を見せ、気分を害してしまうのです。
男性としては一生懸命わかろうとしています。わかろうとしているからこそ
「何が言いたいの?」
と尋ねているわけです。だって、何が言いたいのかがわからないのですから。
それなのに、不機嫌になる女性たち。なんと理不尽な話でしょうか。
僕はそんな女性たちと毎日話をすることを職業としています。「なんともの好きな!」と思う男性もいるでしょう。
男性はキャバクラに、女性は占い師のもとに、思いを吐き出しに行くのだそう。僕も半分「占い師」のような仕事をしているため、毎日毎日女性の話を聞くたび、この「女性特有の取り留めのない会話」が苦ではなくなったのです。
さて、この日の相談者は、旦那さんとのコミュニケーションに悩まれていました。旦那さんが最後まで話を聞いてくれないと言うのです。そして、必ず「何が言いたいの?」と言われる。そのことに強い憤りを感じていました。
しかし、男性目線で言わせていただければ、奥さんが「何が言いたいのか」わからない旦那さんの気持ちも痛いほどよくわかります。
そこで、この女性の心の中で一体何が起きているのかに興味を持ち、僕は尋ねました。
「へ~っ…。旦那さん、何が言いたいかわからないんでしょ?じゃあさ、何が言いたいか、ちゃんとわかるように伝えてあげればいいじゃない?」
そう伝えた僕に、彼女は寂しそうに答えました。
「だって、伝えたいこととかないもん…」
「……。」 (えっ!)
しゃべっているのに伝えたいことがない?もう、わけがわかりません。
「はあ?どういうことよ?」
僕は驚いて尋ねました。旦那さんは奥様の話を理解しようと一生懸命尋ねていたのに。当の奥様と来たら「伝えたいことはない」なんて言うのです。
「え~っ!じゃあ、なんのためにしゃべったのさ?」
彼女は困った表情を見せました。そして、細々とした声でこう答えたのです。
「う~ん、聞いてもらいたかっただけなんだよね…」
聞いてもらいたかっただけ…???
僕は大きくため息をつきました。そういうことか…。女性のコミュニケーションは、情報伝達の手段ではなく、共感手段だったのです。
僕ら男性はコミュニケーションを情報伝達の手段だと考えています。ですから、その情報を聴き逃すまいと一生懸命話を聞きます。
一方、女性のコミュニケーションは共感手段です。情緒豊かに表現をします。一から十まで事細かに話しますし、前置きや余分な情報も多くなります。ときに、1起きた事象を10と理解し、100で表現します。
「事実」と「主観」が混在しますから、男性の耳にはノイズの多い会話になるのです。
だからね、あの人たちの話なんて、一生懸命聞かなくたっていいのです。一生懸命聞くから、疲れるのです。イライラするのです。はっきり言って、そんな話にイライラするのは時間とエネルギーの無駄遣いです。
なぜあなたと話すと女性は不機嫌になるのでしょうか。
あなた、今まで英語しか話せないアメリカ人に、必死に日本語で話しかけていたのです。それでは、あなたもイライラするし、女性も不機嫌になります。
女性は異性なんていう可愛らしいものではありません。もはや、異星人です。
男性であるあなたのコミュニケーションは一切間違っていません。しかし、彼女たち女星に生まれた異星人たちのコミュニケーションも間違っていないのです。
一見同じ言語を扱っているように見えるのですが、実はまったく異なる言葉で会話をしていたのです。
女性が相談してくると、僕ら男性は一生懸命アドバイスをしようと考えます。男性の脳は問題を解決するためにフル稼働するのです。ところが、女性は問題を解決しようとすると不機嫌になります。
「えっ?じゃあ、なんのために相談しているの?」と思いますよね。
騙されてはいけません。あの人たちは相談するフリをしているだけなのです。なぜって、彼女たちの会話は共感手段なのですから。
ウチの妻がよくこんな相談をしてくるんですね。
「今度、◯◯講座があるんだよね~。行きたいんだけど、どう思う?」
はい、「どう思う?」と質問されました。そこで、僕は「僕がどう思うか」を丁寧に説明します。「最近お金を使いすぎていること」「講座に出ても、それを生かしきれていないこと」「家を空けすぎて家事が滞っていること」など理由を列挙し、早い話が「やめておいた方がいいと思うけど」を伝えるのです。
非常に論理的です。
いいですか?
「どう思う?」って尋ねられたから、「僕がどう思うか?」を伝えたのです。
その瞬間、彼女は不機嫌になりました。女性によっては、著しくテンションを下げて、すべてのモチベーションを失う人もいるようです。
超面倒臭い生き物。それが女性です。
それで僕はフォローします。
「別に黙って行けばいいじゃん?文句言ったことないでしょ?どう思うか尋ねたから、思ったことを伝えたんでしょ?」
すると、さらなる悲劇を招きます。「反対された!」「否定された!」「わかってくれない!」となるのです。僕ら男性の紡ぎ出す言葉は。カケラも女性のフォローにならないのです。
「火に油を注ぐ」とは、こういうことを言うのでしょう。
おい、待て!「どう思う?」って聞いたじゃないか!
そう憤ったあなたは健全な男子です。何も間違ってはいません。
でも、きちんとおさらいをしておきましょうね。僕ら地球人と、彼女たち異星人では、似たような言葉を用いていますが、まったく異なるコミュニケーションをしているのです。
僕らにとって「どう思う?」は「どう思う?(意見をください)」ですが、彼女たちの「どう思う?」は「どう思う?(同意してください)」なのです。
早い話、 「どう思う?(お前の意見は聞いてね~よ)」なのです…。
一見、こちらの意見を求めているようですが、自由に意見を言ってはいけないという理不尽さ。僕に許された答えは「いいね、行っておいで」なのです。
つまり、「どう思う?」の答えは「はい」か「YES」。
「そんなことわかるかよ!」
そう思ったあなた。何度も言いますが、健全な男子です。あなたは何も間違っていないのです。ただ、知っておいてください。
「どう思う?」は地雷です。
そりゃ男性は踏みますよ。僕らが必ず踏むように作られたトラップなのです。
僕らの脳は、尋ねられたら答えを探します。同意できる内容ならばいいのですが、問題は同意ができないとき。彼女たちの問いに対する僕らの「答え」は、確実に地雷を踏みつけることになるのです。
感情で処理する女性と論理で処理する僕ら男性との間には、目に見えない高い高い壁が存在するのですね。男と女の間には「ベルリンの壁」が立っていることを忘れないでください。
そこで、僕はこう考えました。女性と会話をするときは超能力者になる必要があるのだ、と。言葉の表層部分で彼女たちの伝えたいことを考えるのではなく、言葉の裏にある思いを感じるのです。考えるな、感じろ!です。
「氷山の一角」という言葉があります。
海面を漂う氷山は、海面に見えるのはその一部分です。しかし、水面下にはその何倍もの氷の塊が隠れています。
女性と会話をするときは、この水面下に隠れた「氷の塊」を読み解く必要があるのです。
たとえば先ほどの「行きたいんだけど、どう思う?」という「氷山の一角」。その水面下を覗いてみましょう。
「行きたいんだけど、どう思う?(その講座に行きたい。って言うか、すでに参加を決めている。仲のいい友達も行くし。でも、自信がないんだよね。家空けすぎてて、ちょっと罪悪感を感じてるし。背中を押してもらえたらうれしいよね)」
でかいよ…。水面下の氷、大きすぎるよ…。
そのことに気づかず、僕ら男性は氷山にぶつかります。勢いよく、
「やめておいた方がいいと思うけど」
と言ってタイタニック号並みに撃沈するのです。
ですから、僕らには高性能のソナーが必要です。彼女たちが何を考えてその言葉を発したのか…、いや、彼女たちが求めている言葉は何かを想像力を発揮して考える必要があるのです。
早い話、女性からの問答は「クイズ」です。
換言すると、「私は今、あなたに何て言ってほしいでしょうか♡」というクイズなのです。
「そんなことわかるかい!」とツッコミを入れたあなた。そんなことだから、「あなたと話すと女性は不機嫌になるのです。だって、この本のタイトルは「なぜあなたと話すと女性は不機嫌になるのか」ですよ。女性を不機嫌にさせる男性しか読まない本なのです。
でも、間違えないでください。あなたの会話は男性として極めて健全です。つまり、極めて健全な男性らしい会話は、女性を不機嫌にさせてしまうわけです。
もちろん、あなたの周りが男性ばかりであれば、何の問題も起きないでしょう。(そんな奴は、こんな本を買わないよね…)
だって、僕らの氷山は水面下に氷はありません。プカプカ水面を漂っています。言葉で伝えたことは、そのままの意味でしかありません。会話とは情報伝達の手段なのですから、言外にそんな多くの意味を含むことはいたしません。
しかし、この世界には男性と女性が存在して成り立っています。(LGBTのお話はここでは置いておきます)同性だけの会話では社会は成立いたしません。
家庭はもちろんのこと、職場でも女性と会話する場面はたくさんあります。そうそうぶつかっていたのでは、タイタニック号が何隻あって足りません。ぶつかることを回避する術を身につけ、あわよくば心をつかみ、どうせならこちらの言葉も聞いてもらいたいですよね。
僕たちは無実です。しかし、無策では異星人の侵略に屈することになります。女性とは恐ろしい生き物なのです。
僕は個人セッションを通して、毎日のように女性(ほぼ人妻)とお会いし、お話を伺っています。また、自宅にお母さんを集めて学校を作っていたり、お母さんたちと大きなイベントを作り上げたりしています。