子どもたちとの人間関係を整える


子どもの心に届く言葉

僕は中学生のとき、何度も何度も先生に殴られました。

ですから、とにかく先生という生き物が嫌いで嫌いで仕方がありませんでした。

ですから、何を言われても僕の心に彼らの言葉は届きませんでした。

 

偉そうなことを言っている。

それなりにいいことを言っている。

でも、まったく心に届かないのです。

 

ところが、一人だけ「この先生は違うな」という先生がいました。

 

 

あるとき、その先生のクラスにかわいい女の子がいました。

「あの子の名前なんですか?」

間抜けにも先生に女の子の名前を聞いてしまったのです。

 

翌日の授業中、さりげなく僕のノートにその子の名前を書いて、ニヤリとしました。

 

それだけの思い出です。

ですが、なんとなく「この先生、好きだな」と思いました。

 

あるとき、僕らは大きな事件を起こしました。

一列に並べられた同級生たち。

相変わらず、先生たちは次々に僕らの顔を張りました。

 

ところがその先生だけは、最後まで殴りませんでした。

そして、「やり方は間違いだったかもしれないけれど、そうやって仲間と過ごせるのはうらやましいな」と言いました。

 

 

僕はやっぱり「この先生、好きだな」と思いました。

その先生の言葉だけでした、すっと心に届くのは。

 

「学ぶために大切なこと」


我がメンターの野澤卓央さんがインドで学ばれてきました。

そのとき、インドの徳の高い方に「学ぶために大切なことは何か」と尋ねたそうです。

そのとき返ってきた言葉。

 

僕は、それを聴いてすっと腹に落ちました。

学ぶために大切なもの、それは「関係性」なのだそうです。

「師とのつながりの深さ」が重要なのだそうです。

 

どれだけ教え方がうまかろうが、どれだけ言葉巧みだろうが、胸に響かない先生もいます。

逆に、子どものころ、本当にお世話になった、ご迷惑をおかけした、そんな先生の言葉は、すっと胸に響き、腹に落ちたものです。

 

そこには技術を超えた、大切ななにかがありました。

 

僕らは技術に目を向けがちです。

教育技術さえ高まれば、うまくいくと盲信しています。

子どもたちと接するときでさえ、カウンセリングマインドだなんだ、とまたスキルに走ります。

 

書店の教育書を眺めると、HOW TO本の多さに驚きます。

ところが、技術より大切なことがあるのです。

 

どんな人間関係を育むか。

 

子どもたちがこの先生となら話をしたいと思える、そんな先生になる。

技術よりももっと大切なことがあるのです。

 

これは技術が必要ないと言っているわけではありません。

確かな教育技術は必要です。

でも、そこに深いマインドがなければ、ホンモノではないわけです。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 子どもたちとの人間関係を整えれば、教室はもっとハッピーになる。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。