できるNO.2を困らせるNo.1 〜ヴィジョンなきリーダーが組織を迷わせる〜


僕らのこれまでの研究で、組織において重要なのはNo.2の存在であることがわかっている。

組織の拡大には優秀なNo.2、つまりはリーダーの右腕が必要なのである。

 

 

かく言う僕もこれまで副主任というNo.2の立場を何年もやってきた。

リーダーである学年主任の意を汲んで動くわけである。

 

 

そんな僕を困らせるのは、その「意」がわからないリーダーである。

どんな意図をもっているかが押し測れないと、その都度お伺いを立てることになる。

 

 

「これでいいですか?」

 

 

このやりとりは結構面倒臭い。

ヴィジョンのないリーダーは、とにかく一転二点とコロコロ変わる。

 

「これでいいですか?」

 

…と尋ねたときの答えが、日によって変わる。

それは配下の者の判断を迷わせる。

 

 

良いように言えば臨機応変なのだけど、それって実は明確な目的や目標を用意できていないから、コロコロ変わっているわけで。

目的や目標がハッキリしていない以上、そこに属する人間は路頭に迷うことになる。

 

 

「あれ?この前はこう言ってませんでした?」

 

「おや?この前と違いません?」

 

 

そんなことがよく起こる。

困ってしまうのはNo.2で、その人は矢面に立って

「あれ?この前はこう言ってませんでした?」

「おや?この前と違いません?」

という至極当然のクレームを受け止めることになるのだ。

 

 

リーダーがブレないヴィジョンをもち、そのマイルストーンとなる目標を丁寧におけば、優秀なNo.2は想像以上の力を発揮する。

それはなぜか?

 

 

リーダーにお伺いを立てなくても、自分で考え自分で行動できるからである。

いちいちお伺いを立てねばならない組織と、自分で考え自分で行動できる組織では、組織内の活気も個々の意欲も雲泥の差なのだ。

とりわけNo.2は勢いを増し、意欲的に組織を盛り上げてくれる。

 

 

…と考えると、組織のNo.2は優秀であることが望ましい。

 

 

 

そう、僕のように。(←ここは笑うところ)

 

 

 

 

問題はリーダーであるNo.1である。

リーダーはもしかしたら優秀でなくても良いのかも知れない。

優秀さは誰も求めていない。

 

 

それよりもブレないでいてもらいたいのだ。

何を目指しているのか、どんな世界を作るのか。

ブレてもらっては困るのである。

 

 

もっと不器用でいい。

でも、コロコロ変わらない。

「俺はここを目指している!

 責任は俺が取る!

 あと、よろしく!」

ってな感じがいいのである。

 

 

僕はこれまでかなり多くのリーダーに仕えてきた。

今思い出すと、すごく優秀なリーダーよりも、ちょっと頼りないぐらいの方がやりやすかったな、と思う。

 

 

結局僕が言いたいのは何かと言うと、僕の仕事がなかなかうまく行かないのは、僕が優秀すぎるせいだ(←ここも笑うところ)

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。