自己分析ツールの弱点を補うために、人事支援アプリ開発で考えたこと
弊社開発中の人事支援アプリ『CrewDocks®︎』は自己理解を深める機能を併せ持っている。
「併せ持っている」と表現したのは、それがメインコンテンツではないからだ。
どちらかと言えば、リーダーがマネジメントに役立つように、アプリがデザインされている。
そのため、分析結果をリーダーにフィードバックするのだけど、無料のユーザーにも「自分の分析結果」を見ることができるようにした。
だから、「自己理解を深める機能」も付随したことになる。
自分を知るためのツールって山ほどある。
その多くが「質問紙法」を用いている。
システムが出す「質問」に答えることで、その人の「ものの見方や考え方」の傾向を導き出すのだ。
驚くのがその質問数で、平均すると100問〜150問ぐらいの質問に答えるシステムが多い。
多いところでは250問、大手さんで約300問なんてところもある。
たしかに、それだけの「質問」に答えたら正確に分析できそうだ。
ただし、である。
この「ただし」が重要なのだ。
「質問」に正確に答えられたら、の話である。
150問、250問、300問。
それだけの「質問」に、集中して答えられるだろうか。
それほど正確に自分に関する質問に答えられるだろうか。
質問の「意味」を間違えずに理解できるだろうか。
そう、これらの「質問紙法」は、「質問に正しく答えられること」が前提としてある。
また、多くのサービスが「就職する側」が答え、採用する側が閲覧する資料となる。
ちょっとでも「よく見られたい」と思うのが人間である。
そういう点でも「質問」に答えるというやり方は手間がかかる上に、被験者が真摯に取り組めているか、が鍵になる。
そこで僕は考えた。
統計データをもとに、おおよその人物像を導き出す。
このデータには被験者の意図が入り込む余地がない。
さらに、おおよそのデータをもとに、質問を出す。
ただし、人間が集中して取り組めるのは数問であるから、質問数は限りなく減らすことにした。
また、一度にまとめて質問をするのではなく、ログインのたびに質問をし、その結果を分析していくことで日々の変化を可視化できるようにした。
それらのデータをもとに、その人の「ものの見方や考え方」を分析し、現在のメンタルの状態を可視化できるようにした。
さらに、ユーザー相互の違いを自動で分析し、フィードバックをアプリ上で行うようにした。
メンタルの部分はとても重要だと考えていて、そこには「自己肯定感」を分析する仕組みも組み込んである。
そうすることで、それぞれが意欲的に業務に取り組めているかを分析できるようにした。
メンタルにおいては、早期に不調を発見することが大切である。
病んでしまってから、ケアするのはとても難しい。
完全に落ちてしまう前に手を差し伸べたいのだ。
自己分析ツールの多くが、就職する側にサービス提供をし、その結果を採用する側と共有することで、採用や職業斡旋で収益を上げるビジネスモデルになっている。
それに対して、僕らのサービスはリーダーへのマネジメントをサポートするサービスを展開していくことになる。
いかにして、生産性の高い組織をつくるか。
そして、人が辞めない、人が病まない組織をつくるか。
そのことにフォーカスしてアプリ開発を行なった結果である。
ユーザーがそれほど正確に自己理解できていないことを念頭において、いかにしてリーダーをサポートするサービスになるかを、知恵を絞っている。