本気で伝えたいことは、魂でしゃべるんだ。
まず、守ってあげる学校体制を整える
先号に引き続き、もしも「いじめ」が起きたなら、というテーマで書きました。
僕のクラスで、もしも「いじめ」が起きたなら、もう一度学級に「みんな違ってみんないい」という土壌を耕すところからリスタートします。
ですが、そこに即効性はありません。
当然、時間がかかるものです。
即効性を求められば、大人は「力づくの指導」に走ります。
安易に罰を与えることを選びます。
その結果、大人の視界に入らぬ形に変えていくことになります。
より指導を困難にします。
ですから、もう一度じっくり腰を据えて、心を耕していかねばならないのです。
そのために、必要なのは時間です。
もしも、「いじめ」が起きたなら。
2つ目にすることは、きちんと被害にあった子を守ることです。
それは、学級担任一人の力では不可能です。
ですから、学校全体でケアします。
僕はこれまでずっと生徒指導を担当してきました。
どこかのクラスで起こった「いじめ」を認知したら、時間割を見ながら、大人がきちんと寄り添えるように学校体制を整えてきました。
常に大人の目があるようにすることは、それほど難しいことではありません。
そういうことは、どこの学校でも可能なはずです。
なにも、ず〜っとではありません。
学級の子どもたちの心を耕すまでの時間でいい。
2〜3日から1週間ぐらいでいいんです。
それだけの時間があれば、先生が本気で取り組めば、子どもたちはね、ちゃんと伝わるんです。
本気でだよ。
本当に伝えたいことは、魂で伝える
もう大昔のお話。
若かったころのお話です。
ある男の子たちが、女の子に嫌がらせしたの。
お昼の時間。
その日は教室での昼食ではなく、特別教室での昼食だったんです。
ところが、一人の女の子がなかなか来ない。
おかしいなぁって思ってたんです。
そしたら、その女の子、泣きながら僕のところに来たんです。
教室が施錠してあって、お弁当が取れないって言うんです。
「鍵もらえばいいじゃん。だれが持ってるの?」
そしたらね、鍵を持った男子たちがね、「オレたち知らないよ」みたいに言って、教室を開けてくれないって。
周囲の子もそれをおかしいって言わない。
笑ってみてるだけ。
その子、悲しくて悔しくて涙が止まらなかったの。
あのころ、僕は若かったから。
もう、カチ〜ンだよね。
腹わた煮えくり返っちゃって、「男の風上にもおけねぇ」って。
その日の午後、授業潰してね、学級活動にしたんです。
「なぁ、それいじめだろ?」って話をした。
なのにさ、悪びれる素振りも見せずに、シラ〜っとした顔してる。
もう、今考えたらむちゃくちゃなんだけど。
ツカツカツカと歩いていってね、そいつらの机の中身、全部床にぶちまけてやった。
「おい、むかつくだろ?むかつくなら、全員で俺にかかってきてもいいぞ」
「先生を殴ったら叱られるとか、考えなくていいぞ。そんなつまんないこと言わないからかかってこいよ」
もう頭にきてたから、むちゃくちゃ。
「理不尽だろ?腹が立つだろ?お前らがやったことはそういうことだろ?」
「男子が何人もいて、からかって。女の子一人じゃ、反抗もできなくて。お弁当が食べられなくて、どんだけ悲しかったと思う?悔しかったと思う?」
「お前らが今感じてる悔しさなんかの、何倍も悔しかったんだぞ」
「同級生に、理不尽な思いさせられて、悔しかったんだぞ」
しばらくしてね、僕も冷静になった。
「ちょっと、荷物、片付けてやってくれないか?」
周囲の子がね、ぶちまけられた荷物を片付けてくれたんです。
「あのとき、鍵を隠したのはこいつらかもしれない。でもな、周囲で見てたヤツだって同じだよ」
「今、こうやって荷物を片付けてくれた子がいたよな。あのとき、だれかが、それおかしくない?って言えたら、言ってくれたら、救われたんじゃないのか」
「やってヤツも、見た笑ってたヤツも、みんな一緒なんだって。そこ、気づこうぜ」
やり方には問題があったかもしれません。
まぁ、苦情が来ても仕方ないな。
けれど、やっぱり「いじめ」は許せなかった。
それしかなかった。
実はこれが初めての「いじめの指導」。
初めてなのに、完全オリジナル♡
学年主任になった今なら思う。
「相談ぐらいしろよ!」って。
怒りに任せた、行き当たりばったりの指導。
全然寄り添えてないし、思いっきり力づくだった。
あのころは、あとさきのことなんて何にも考えてなかったな…。
今の僕は、もう少し大人です…(笑)
でもね、根っこは一緒なの。
何にも変わってないんです。
「いじめ」は許さない!
そこは変わらないんです。
でもね、魂の声で伝えたらさ、ちゃんと伝わるんです。
仕事として伝えたんじゃない。
本気で、心から、「いじめ」は許さない!って伝えたの。
先生だから、伝えたんじゃないんです。
一人の人間として、許せなかったから伝えたんです。
そこはね、今も昔も変わらないところ。
魂で伝えるってそういうことだと思う。
しっかりと寄り添う
どうして「いじめられる子」と「いじめられない子」がいるのか。
どうして「いじめる子」と「いじめない子」がいるのか。
そういうことは、意識しておく必要があります。
いじめられる子には、どうしても選ばれてしまう部分がある。
いじめられる子は悪くないよ。
でもね、いじめられてしまう、選ばれてしまうのには、どうしたって理由がある。
そこはね、目をつぶっちゃいけないと思う。
いじめられない子がいて、いじめられる子がいて、なんで選ばれてしまうのか、って部分はね、ちゃんと見つめなきゃいけない。
でね、その理由を、その子自身は何ともできないんだよ。
たとえば、体型や容姿、清潔感だったり、言葉だったり、空気が読めなかったり、振る舞いだったり。
それをその子自身はどうすることもできない。
その子自身にはどうすることもできないことだけれど、もしも周囲の支援でどうにかできることならば、助けてあげることは必要。
だってね、守ってあげられるのは今だけなんだ。
卒業して、新しい進学先、新しい就職先に行っても、辛い思いをすることはあると思うんです。
だからね、支援できる部分は支援してあげたい。
そういう部分も含めて、ちゃんと守ってあげる体制を整えなきゃいけないのですね。
ハッピーな子どもを育てる大人になるためのしつもん
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