叱っても叱っても繰り返す子

小さな一歩を踏み出す子どもの姿

 

幼稚園児の子どもがどれだけ注意をしてもやめません。

そのときは「わかった」と言いますが、またやります。

「なんでそんなことをするの?」と尋ねると、「やっちゃダメなのはわかってるけど、どうしていいかわからない」と言います。

 

昨日、幼稚園での連続講座がありました。

これで3回目になります。

講座後、数人のお母さんが代わる代わるご相談にいらっしゃいました。

 

 

それがね、みんな相談内容が同じだったのです。

事例は違えど、聞きたいことは同じ。

 

 

「やってはいけないことをどのように注意したらいいか」

そういう質問だったのですね。

 

 

まず、子どもの行動の裏には、本当のニーズが隠れています。

 

 

以前、「こっち見て行動」の話を書きました。

子どもの「こっち見て行動」が教えてくれること。

 

 

子どもが騒ぐ裏には「お母さん、私を見て」というメッセージが隠されています。

この場合、「お母さん、私を見て」を満たすことが解決の最短距離です。

ところが、そのことに気がつけないと、「そんなことをしちゃダメ」「お母さんは忙しいの!」と注意を与えます。

 

 

子どもは心のグラスを満たされぬまま、「我慢」を覚えることになります。

 

 

あるお子さんは、飼い犬に乱暴してしまうのだそうです。

それでね、僕と話をしているうちに、お母さんは気づいてしまいました。

「私、犬ばかり可愛がってたかもしれない」って。

 

 

別のお母さんはね、一番上のお子さんが癇癪を起こすことに困っていました。

そして、話をしているうちに、あることに気がつきました。

「あの子、下の子のために我慢してばかりかもしれない」って。

 

 

そう、そうやって気づいた人から変わっていきます。

一方で、気づかぬ人は何も変わっていきません。

 

 

講座中、一人の女の子がじっと講座の様子を眺めていました。

ママの顔をじっと眺めていました。

集団から離れ、一人で。

 

 

すると、先生がやってきました。

彼女は柱にしがみつきました。

視線をママから離しません。

 

 

先生が話しかけても反応を示しません。

仕方がなく先生は彼女を抱きかかえました。

すると、彼女は泣きじゃくりました。

 

 

その姿を見ながら、僕の胸はまた締め付けられました。

僕がやっていることが、本当に子どもの幸せにつながっているのだろうか?

それを思うと、僕の心は揺らぎます。

 

 

僕ら夫婦が主宰する「お母さんのための学校PLC」には「真夜中のPLC」というZOOMミーティングがあります。

昨日、こんな話をしました。

 

 

「子どもたちは、無条件でお母さんを受容しています。

一方、親は条件付きで子どもを受容します」

 

 

言うことを聞くから可愛い。

お利口さんだから可愛い。

わがままを言うから可愛くない。

笑うから可愛い。

泣くから可愛くない。

 

 

子どもはペットではありません。

大人を癒すための存在ではありません。

 

 

子どもに注意を与えます。

叱り続けてみましょう。

やがて、子どもの行動は変わります。

 

 

それは、「してはいけない理由」がわかったから行動を変えるのではありません。

それをすると、お母さんが怒るからやめるのです。

お母さんの怒った顔を見たくなくてやめるのです。

 

 

子どもがお母さんの心を満たそうとして、子ども自身の行動を変えようとする。

これが健全な親子の関係だとは思えません。

子どもが親の顔色を見て生きるようになるわけです。

 

 

子どもが喜ぶ姿を見て、親が喜ぶのが本来の姿ですね。

子どもの喜ぶ姿を見たくて、親は一生懸命になります。

 

 

でも、これでは親が喜ぶ姿を見るために、子どもががんばるんです。

なんだか「あべこべ」の関係ですよね。

 

 

まず、子どもが必要としているものを感じてみてください。

そして、一緒に解決してみると良いかと思います。

 

 

犬に乱暴しちゃう子のニーズは何だろう?

もちろん、「お母さん、犬だけじゃなく私を見て」という思いもあるかもしれません。

でもね、一番はやっぱり「犬と仲良くしたい」だと思うんですね。

 

 

だからさ、「あれはダメ、これはダメ」と伝えるよりも、「犬と仲良くする方法」をいっしょに考えた方がハッピーだと思うんだよね。

 

 

注意する、叱るってのはさ、相手を変えるアクションじゃん?

でもね、変えられるのは自分だけ。

できる範囲で、子どもといっしょに考えてみるのがいいと思うよ。

 

 

あなたに贈る魔法の質問

 子どもとどんな時間を過ごしますか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。